2013年に完結したヤマザキマリの人気漫画「テルマエ・ロマエ」が続編として帰ってきた。古代ローマの浴場設計技師が日本の風呂文化に影響を受けるコミカルさは健在。さらに、知る人ぞ知る温泉地の魅力を伝える要素も加わった。

 ヤマザキは、とり・みきとの合作「プリニウス」(13~23年)で古代ローマの知の巨人を描き、今年の手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した。今回タイムスリップコメディーに原点回帰したのは「ばかばかしいローマをもう一度描きたい、と。まじめなプリニウスを描く中でたまっていたものがあったんでしょうね(笑)」。集英社の漫画配信サービス「少年ジャンプ+」で2月から連載を始め、4月に単行本1巻が刊行された。

 前作では銭湯やショールームの風呂にも登場した主人公ルシウスだが、続編では主に日本各地の温泉地に出没。コロナ禍の影響で閉館した温泉ホテルも作中に登場する。ヤマザキ自身、テレビ番組での温泉リポーター経験も持つ温泉好き。一見目立たずとも、魅力にあふれている温泉地を応援する気持ちは強い。「普段の自分と向き合える、静粛な思いでくつろげる場所。サポートしたいですね」(黒田健朗)

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